水草水槽をやろう!と決めたとき、まずは色んなサイトを読んで勉強をしたんだが、
そこで気になったのが「コケ」の扱い。
だいたいどのサイトを見ても、コケは不倶戴天の敵で、発生したら撲滅すべし!
というスタンスで書かれている。
一方で、自然を水槽に再現するネイチャーアクアリウムは素晴らしい!とも書かれている。
コケの発生を抑える商品の隣で、水草の成長を早める商品が紹介されていたりする。
まだ初心者未満な状態だった俺は、この二枚舌みたいな感じを不思議に思った。
コケの何がそんなに悪いんだ?
なんでそんなに目の敵にするわけ?
おじさんイジメは許さないよ?
自然に生えてくるんなら、受け入れてレイアウトに取り入れてやるぜ!
と息巻いて水槽維持すること半年。
珪藻、緑色のコケ、藍藻、黒髭苔といったコケが発生してきた。
その対応のなかで自分なりに分かったこと、思ったことをまとめる。
まず、「コケ」とは何か?普通の人が「コケ」と聞いてまず思い浮かべるような、侘び寂び感のある緑色のフカフカ。
ああいうのは、アクアリウム的な「コケ」には含まれない。
実際にコケ類でも、見栄えが良いものはアクアリウム的には「水草」にカテゴライズされるようだ。
ではどんなものがアクアリウム的な「コケ」なのかというと、
つまり勝手に生えてくる見てくれが悪いものを総じて「コケ」と呼んでいるのだ。
(明確に定義されているわけじゃなく、俺がいろんなホームページや本を読んで思ったこと。)
なぜコケはみんなに嫌われるのか?
コケのデメリットをまとめてみた。
デメリット:見た目が悪い「コケ」は、汚らしい茶色だったり、毒々しい真緑だったり、ヒゲみたいだったりで、
視界に入ると本能的に嫌悪感を感じてしまう。
本能的に「こんなもの、一刻も早く水槽から取り除かなければ」と思ってしまう。
コケは基本的に「環境が悪くなると発生しやすくなる」ものなので、
これを嫌悪するのは人間の本能なんだろうなぁと思う。
どうしようもないよね。
デメリット:思い通りにならないコケはコントロールが非常に難しい。
気まぐれみたいにあっちこっち発生しては、消えていくものだからだ。
レイアウトの事なんて一切考えてくれない。
発生したり消えたりには理屈があるはずなんだが、何しろ情報に乏しい。
水産関係や藻類に強い大学でも、水槽内に発生するようなコケの研究やってるとこなんてほとんどないそうな。
結局、情報といえば有志が残した経験と勘の記述を読み漁るしかない。
熱帯魚の育て方や、カレーの作り方のように、ちょっとぐぐったら正確な答えが出てくるような情報じゃないのだ。
デメリット:水草の成長が止まるコケが付着した水草は、成長がピタリと止まる。
光合成が阻害されるのか、養分を横取りされるのか知らないけど。
水草はわざわざ金を出して買って植えているもので、こっちは日々の成長を楽しみに観察しているのに、
勝手に発生する得体のしれないモノのせいで成長が止まるってのは、なんかムカつくのだ。
デメリット:臭い(藍藻)藍藻という、鮮やかすぎて引くぐらい濃い緑のコケがある。
藍藻は厳密には苔類ではなく、微生物の集合体なんだが、アクアリウムではこういうのも「コケ」にカテゴライズされている。
こいつが、無茶苦茶臭いのだ。
よく「カビ臭い」と表現されるが、俺が思ったのは「強烈な墨汁臭」。
水が出来た水槽は、普通ほんのりかすかに墨汁の臭いがするものだが、藍藻が発生している水槽はほんのりなんてもんじゃない。
帰宅すると玄関まで臭ってきて、ゲンナリするレベル。
見た目は我慢できても、臭いだけは我慢できない。
では、何かメリットはないのか?ということについて。
メリット:一部の生体のエサになるエビや貝、オトシン系の生体は、全く給餌しなくてもコケさえあれば生きていける。
また、普段コケを食わない魚でも、飢えている時はコケを食って生き長らえるようだ。
こいつらのために、目立たない側のガラス面だけコケを放置するということは、
多くの人がやっているんじゃないだろうか。
ただし、生体によって食べるコケと食べないコケがあるので注意。
特に黒髭苔のような「やっかいな奴」ほど、食べてくれる生体は少ない。
また、人工の餌を食べ慣れてしまった個体はコケを食べなくなることもあるそうな。
メリット:環境チェッカーとして役に立つコケの栄養源は「水草が吸収しきれなかった栄養分の余り」である。
コケが発生するということは、水槽が富栄養化しているということで、
逆にコケが消えた場合は、富栄養化が改善されたということになる。
これを判断するために、わざとコケを放置するのもアリだと思う。
どうせ一時的に排除しても、環境が改善されなければすぐ再発生するんだから。
当然見た目は犠牲になるが・・・
でもコケまみれの水槽は見るのも嫌になってしまうので、最低限前面のガラス面だけは掃除するようにしよう。
メリット:アクアリウムにおける「敵」としての役割どんな遊びでもそうだが、簡単すぎると楽しくない。
ゲームでも、強敵がいるから楽しいのだ。
コケが大発生して、青ざめながら対策を考えている時、なんだかんだ言っても結構楽しい。
思い通りにならない「コケ」の存在があるからこそ、水草水槽は楽しいんだと思う。
大嫌いだけど。
ということで、コケは「百害あって二、三利しか無し」な存在だと思う。
だから、世のアクアリストたちはコケを嫌っているのだ。
俺が初心者だった時、このような初歩的なことを説明しているサイトが見当たらなかったので書いてみた。
これから水槽やろうっていう初心者未満な人の役にたてばいいなーと思う。
その人が「テメーにゃ無理だっただろうが、俺はコケを活かした水槽やってやんぜ!?」なんていう男前だったらもっといいなーと思う。
(そもそも初心者がこんな場末のブログなんか見に来ないってのはさて置いて)
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